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励に努めるべきである。
5)家庭の機能を強めること
現代の家庭の機能の多くは家庭外の機能によってとって代わられたが、まだ高齢者にとっては、よりどころであり、離れたくない所である。それゆえ、政府は色々な処置を通じて、家庭本来の効能を確保すべきである。例えば、在宅介護の奨励、国民住宅購入の優遇、税金の減免、無利息の借金等が考えられる。また、家庭倫理の再建に努め、子供の父母に対する責任感を強めるべきだと思う。
6)老人レクリエーション・センターの増設と社会活動の奨励
健康な老人にとっては、毎日家に閉じ込っていることは、体に毒である。ところが、外出しても、楽しく過ごす所がなければ意義はない。現在各県市に老人活動センターが設置されているが、その活動の内容は貧しく、高齢者の興味を引かない。もっと、各共同生活体の区域内において、小規模のセンターを作り、老人用の娯楽設備を充実し、老人たちの活動を奨励すべきだと思う。そして、その管理は、老人の自治に任せ、政府はそれを指導するだけでよい。また、利用にあたり老人のセンターへの行き帰りの交通の便を図る必要がある。
7)「老人福祉法」の改正
現在の「老人福祉法」は1980年1月26日に発布実施されたもので、過去10数年の間に、情況が変わって、改正しなければ、時代に沿っていけないばかりでなく、将来の変化にも対応できないと思う。内政部が建議した改正案の要点は、下記の通りである。
第1条の「老人福祉法」の目的に、「老人の権利と利益を保障する」ことを加えた。
第2条(現行の第3条)の老人の定義を70歳以上から65歳以上に改めた。しかし、これは退職年齢を65歳から70歳に上げようと主張する人達の意見と相反する。どちらがよいかは、まだ議論の余地がある。本法律の適用を65歳以上とした場合、政府の負担がもっと重くなることは明らかであるが、退職年齢を70歳まで伸ばすと、若い人の昇進に影響する。第2条を第3条に替えて、「老人福祉の業務を執行するため、各主管機関は専門の単位あるいは専門の人員を設置すべきである」を加えた。これは、今の人材不足を補うために必要である。

 

 

 

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